001 受託製造業の今 - 急激に減る町工場

日本における町工場の役割とは

このブログでは、メーカーなどで設計調達を行うご担当者様に、部品生産等を請け負う私たち受託製造業の事を知っていただく事を目的としています。

事業環境が大きく変化する昨今、メーカーとサプライヤーとしての関係性も大きく変化しています。
小規模な受託製造業ほど淘汰が進んでしまった日本の現状を踏まえ、今後目指していくべきメーカーとサプライヤーとの関係性とはどのようなものでしょうか?
まずは当事者の立場から受託製造業の状況や、変化をお伝えできればと思っています。

日本の製造業における受託製造業(町工場)の役割は意外と大きいと思います。
様々な製品製造のサプライチェーンの中で、大きな存在感を発揮している町工場も多いはずです。
大規模では難しい小回りの良さ、職人技による技術、最小設備によるコスト競争力など、中小企業ならではの強みを発揮していると思います。

また、日本の産業の中でも、製造業は大きな比重を占めてきました。
労働者の約2割は製造業ともいわれていますので、雇用の観点からも町工場は大きな役割を持っていると思います。

町工場の典型的なビジネススタイルは受託製造業と呼ばれるとおり、お客様から図面をいただいて、図面通りのモノを製造する事でその対価をいただく、という「受け」や「待ち」をベースとしたスタイルです。
自分達の提供できる製造技術や能力と需要がマッチして初めて個々のビジネスが成立します。

基本的に受託製造業の製造能力は、それを生み出す生産設備を先に設備する事で生まれます。
先に設備というリスクを抱えて、来るかどうかわからない製造需要を待ち、ニーズとマッチしたときに初めて仕事が繋がるという事になります。
一方、発注側はインターネットの発達もあり、常に受託製造業を比較検討し、より有利な取引先を選んできました。
受託製造業は、経営という観点で見ると非常にリスキーな業態と言えます。

加工風景

受託製造業の今

現在、国内の受託製造業(いわゆる町工場)はかつてない程縮小しています。
都内でも、ものづくりで有名な大田区、墨田区でさえ例外ではありません。
この10年程で町工場仲間の多くが廃業・倒産に追い込まれてきました。

最盛期の実に半分以下にまで会社数が減っている地域が大変多いのが現実です。
とくにかつてはモノづくりの街でもあった東京での、町工場の減少ぶりは凄まじいです。

その多くの原因は、メーカーの海外生産と、受託製造業の事業の硬直性による影響が大きいと言われています。

溶接加工工場

淘汰されつつある受託製造業

受託製造業では、高度経済成長期には、良いものさえ作っていれば仕事が自然と集まりました。
当時は町工場は次から次へと舞い込む加工の仕事をただこなしていれば、生き残っていけたわけです。
新しい工作機械が出れば、その先端機械を導入してより高度な仕事をすることができました。

しかし、バブル崩壊後の長引く不況の中で、特に2008年のリーマンショック以降は、大手企業の海外生産への転換に拍車がかかり、国内の仕事そのものが少なくなってきました。
意外と思う方も多いかもしれませんが、実は日本の国内製造業は縮小しているのです。

また、主にコンピュータ技術の進歩による工作機械の高度化が進み、設備による技術力差はほとんどなくなってきています。
分野によっては、海外でも日本国内と相応の製造ができるようになったことを意味します。
長引く経済停滞もあり、国内での成長が十分に見込めない中で、海外需要の取り込みに積極的に海外進出する企業が増えていました。
新興国に工作機械を持っていけば、安価な労働力で一定水準以上の仕事ができますから、海外生産への転換は加速していきます。

特に、射出成型やプレス加工など、大量生産に向いた業種が海外シフトの影響を大きく受けてきたようです。
日本のお家芸とも言える金型、精密加工の分野にも徐々にその余波が広まってきました。

ミスマッチが急増中!?

現在受託製造業は、強みに特化した企業と安値競争にこだわる企業で二極化しつつ全体として縮小している状況です。
発注元からすれば、どこにどの仕事を出していいかわからないという受発注のミスマッチがいたるところで起こっているようです。

逆に町工場の立場からすれば、インターネットでのサプライヤー探しが広まっていて、より安い下請け企業をいくらでも探せる時代になっています。
いつの間にか、「自分達はこんなことができるんだ」ということをアピールしていかなければ、仕事が回ってこない状況になっているのです。
今まで必要の無かった自分達の製造・加工技術の売り方=営業力が求められる中で、大きな壁にぶつかっているのが現状です。
その一方で、小規模な受託製造業ほど淘汰が進んでいます。
生き残っている受託製造業は、そのような企業で極端に安価に請け負っていたような仕事の相談ばかり舞い込んでくるのです。

メーカー側の事情も変化しています。
設計と製造現場が離れる事で、製造工程への理解が進まないまま図面を出図した結果、製造現場で大きな問題が出ることが頻発しているようです。
更に、小規模で営んでいる下請け企業の倒産や廃業が相次ぎ、その代わりとなる下請け企業がなかなか見つからないという事態となっています。

このように日本の製造業では、メーカー側、受託製造業側で大きく変化が進んでいる中で、いたるところで課題が噴出しています。
縮小している日本の製造業が、今後もしっかりと産業として成長していくためにも、設計者・発注者様と受託製造業者が相互理解の元、対等な立場として良い製品を生み出していく事に取り組むという事が今後更に一層の重要性を増すことと思います。

そんな橋渡しを少しでもできればと、日々考えています。

この記事は主にメーカーの設計や調達担当者様向けに、受託製造業側の事情や変化を知っていただき、よりスムーズで持続可能な取引に繋げていただく事を目的としています。

今後の記事で、より詳細な情報を共有していきます。
皆様のご参考になり、事業に活用いただけましたら幸いです。

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