013 製造業の労働生産性 - 産業別に見た製造業の立ち位置

1. 実は高い製造業の生産性

私たち製造業は国内では縮小しています。
ただし、その生産性は他の産業と比較すると高いと言われます。

今回はそんな製造業の生産性について確認してみましょう。

日本 経済活動別 就業者1人あたりGDP

図1 日本 経済活動別 就業者1人あたりGDP
(内閣府 国民経済計算を基に作成)

図1は2020年の、経済活動別の生産性を表す就業者1人あたりGDPを比較したものです。
就業者とは、その仕事に就くすべての労働者を指します。

労働者1人が1年間に生み出した付加価値を表すものですね。

日本全体の平均値は785万円で、建設業は673万円、卸売・小売業は654万円などです。
製造業は1005万円と、平均値を大きく超える水準です。

製造業よりも生産性の高い産業はいくつかありますが、実はどれも極端に労働者数の少ない産業です。
ある程度以上の労働者規模があり、生産性が高い産業が製造業と言えます。

2. 経済活動別の労働者数

念のため経済活動別の労働者数の変化もご紹介します。

日本 経済活動別 就業者数 暦年

図2 日本 経済活動別 就業者数
(内閣府 国民経済計算を基に作成)

図2は経済活動別の就業者数の変化をグラフ化したものです。
日本経済のピークだった1997年(左)と2020年(右)の比較となります。

実は、経済のピークだった1997年よりも、2020年の方が労働者数が多いという状況ですね。
もちろん、女性や高齢労働者が増えたり、非正規雇用が増えたりしている影響も大きいと思われます。

注目したいのは比較的生産性の高い製造業の就業者数が1,348万人から、1,057万人と実に300万人も減少している事です。
依然として最大の労働者数を抱える最大産業ではありますが、その存在感は縮小していると言えそうですね。
さらに、農林水産業、建設業なども大きく減少しています。

一方、専門・科学技術、業務支援サービス業や保健衛生・社会事業は大きく増加していますね。

このように就業者数から見ての産業構造の転換が進んでいるようです。

そして、生産性の高い製造業が縮小する代わりに、比較的生産性の低い公共的・業務支援的な産業の労働者が増えているような状況ですね。

日本経済は停滞が続いていると言われますが、その一因としてこのような産業構造の転換も考えられそうです。

逆に言えば、いかに生産性の高い製造業を成長させていけるかが、経済成長のための大きなポイントとも言えるのではないでしょうか。
ただし、前回見た通り、小規模な事業所ほど淘汰が進んだ結果としてのこの生産性となります。

今後は、小規模でも価格を適正化し、生産性の高い事業が成立する取引が拡がっていくと良いですね。

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