実はこんなに大変!「段取り」とは

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切削加工の大まかな流れ

汎用フライスや汎用旋盤といった加工は、職人の腕の良し悪しで製品の品質、出来栄えが大きく左右されます。これに対し、NCフライスやマシニングセンタ加工は、NCプログラムと呼ばれる加工データにしたがって加工しますので、材料さえ正しくセットすれば基本的には製品の品質は変わらないと思われがちです。

ただし、上の記述には2点重要な要素が含まれています。”NCプログラム”と”材料のセット”です。こういった自動の工作機械は、確かにプログラムにしたがって工作機械が自動で動き加工します。しかし、そのNCプログラムを作製したり、材料を機械にセットし段取り作業を行うのは、作業者=”人”です。段取りの良し悪しでやはり製品の品質、出来栄えが大きく変わってきます。言い換えれば、NC工作機械にも”職人”が必要なのです。

さて、それではこういった加工はどのような流れで行われるのでしょうか。大まかには次のような流れで作業を行います。

段取り作業

具体的な段取り作業の内容を見てみましょう。

ここでは、機械側で行う①~②の流れをご説明します。重要になるのは、素材の向きや位置、エンドミルの径や長さなどの状態が、想定した理想的な条件に対してどれだけ精度良くセットできるか、ということです。この段取りによる誤差が、製品の出来栄えに与える影響は非常に大きいと言えます。

例えば、素材の位置を0.1mmずれてセットしてしまったとすると、加工した形状もある部分だけ0.1mmずれる事になります。段取り精度が製品の精度に直結するわけです。

こういった段取り作業や、素材の据付け方などは加工業者によってそれぞれ特色やノウハウがあり、一概にご説明できるものではありませんが、ごく一般的(古典的?)な方法をご紹介します。

下の図のような手順で、素材の据付~エンドミルのセットまでの作業を行います。形状や工程の組み方によって、刃物交換や、段取替えを行います。段取替えは基本的に素材の向きを変えて、別な向きから加工する事を意味します。こういった刃物交換や段取り替えをする度に、段取り作業が発生します。

①素材の据付、仮締め

治具板に取り付けた素材をテーブルに置き、クランプを仮締めします。

② 平行出し

インジケータを使い、素材の向き(X方向)が機械軸と一致しているか確認しながら、ハンマーなどで叩いて微調整します。

※ インジケータは微小な表面の凹凸を感知できる目盛のついたセンサです。0.01mmや0.001mm単位などの感度で検知できます。

③ 治具板の固定

レンチでクランプを本締めします。強すぎず、弱すぎず、絶妙な力加減とバランスが必要になります。

④ 加工原点の設定

加工するための機械上の原点位置を設定します。ポイントマスターという道具を使って、ワークの側面に触れていき、原点とすべきポイントを割り出します。割り出したポイントを加工原点として機械に入力します。

⑤ エンドミルの取り付け、測長

加工で使うエンドミルを機械に取り付けます。エンドミルは短いものから長いものまで色々な種類、サイズがあります。実際に取り付けたエンドミルの長さは、機械上で測定して入力します。

段取り作業

それでは、具体的な形状を例にとって加工の進み方をご紹介しましょう。今回加工する形状は下図のようなものです。

四角い形状に、段差があったり、窪み(ポケット)があったり、穴が開いてたりします。

さて、まずは素材を設置し、段差を加工するところから始めましょうか。

素材をコロコロ回転させながら、加工する感じですね。もちろん、回転させるたびに段取りを行います。

「段取り」では、上で説明したような事を毎回実施します。このような簡単な形状を加工するのも、結構大変だということがお分かりいただけたでしょうか。ぜひ、ご参考にしていただけば幸いです。

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